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週間日記・2023 10/2㈪~10/8㈰

2023年10/2㈪~10/8㈰の日記(順次追加)

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鎌田共済会 郷土博物館 - 大正時代に建てられた旧図書館|香川県・坂出市の近代建築

電車の窓からこの建物が見え、それで気になったのがきっかけで、わざわざ足を運ぶ人の数も多いのだと職員さんが言っていた。私達も岡山から快速マリンライナーに乗って来た。方角からすると、坂出駅に停車する直前で気が付く機会があったはずで、けれども白い外壁がまったく視界に入らなかったのは反対側の座席に座っていたからだ。土地全体から見たある場所、位置、という点では変わりがないのに、その一点が線路と車両によって分断...

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小川洋子《密やかな結晶》失われる、とはどういうことか|ほぼ500文字の感想

作中で「消失」と称される現象。これは一部の例外を除いた人々から、特定の物事に対する感慨を取り去る。そして「秘密警察」なる組織はそれを推し進める……。例えば香水が消失を迎えれば皆、香水を前にして何の香りも思い出も喚起できなくなり、さらには香水そのものを持ち続けることも秘密警察によって阻まれる。同著者「薬指の標本」も以前手に取っていたから、「密やかな結晶」の作中作(小説)は変奏のよう。

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西加奈子《通天閣》名も知らぬ他人には取るに足らない自己という物語|ほぼ500文字の感想

マストドン上の読書タグの投稿を見て、そういえばこちらのタイトル、確か自分の本棚にも(かなーり前から)放置してあったのでは……と積読していたのを出してきた。表紙が真っ赤。西加奈子「通天閣」は、果たしてどこで買ったのか覚えていない。

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猛犬注意

宿屋か雑貨屋か、飲食店か分からないけれど、とにかくもう営業をしているようではなく、ただ奥の方が引き続き住居として使われているみたいな印象を受けた。ガラスの内側、手前には段ボールが置かれていたり、簡易的な椅子や机が見えたり。そこに1匹の犬がいた。床に身体を伏せた状態から首をもたげて、通りがかった私の影に反応するように顔を上げていた。体長は、丸まった状態で抱え上げられるかどうか判断に迷うくらい、いわば中...

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仮面の幻惑に隠された本物の魔法。そして古き力の根源に出会う北の果て《オドの魔法学校》P・A・マキリップの小説

原文「Od Magic」から、日本語版「オドの魔法学校」原島文世訳の方に切り替えて再読した。故郷であるヌミス王国北方の辺境で、植物や動物などの声を聴き暮らしていたブレンダンは、ある日〈オド〉と名乗る女巨人に魔法の才を見出され都のケリオールへと赴く。庭師の仕事がある、と言われて。なかなか都の暮らしに慣れない彼は、ある日、学校の庭で不思議なものを見つけた……。

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生活それ自体の哀しさ / そこに本が存在する喜び

人間が存在して、寝たり、起きたり、働いたりしてまた眠り、目覚める、その繰り返しにこれといった意味を見出せない。だから、単純に生活するだけではいくら頑張っても精神面の充足が得られず、あまり熱心に取り組む気になれないしときどき疲れてしまう。

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マキリップの《イルスの竪琴》3部作で描かれる、時に過酷な旅と美しい情景

「そなたが、私がこれほどまでに愛した者でなければよかったのに」……人間が抱きうる欲望のうち、知を求める気持ちは私がとりわけ愛おしいと感じるもので、けれど同時に「知りたい」というのはとても危険な願いの発露でもあると分かっている。ある問いにうっかり手を伸ばした瞬間、その勇気ある頼りない腕は恐ろしいほどの力で何かに引っ張られてしまい、身体ごと容易にはこちらの世界に戻ってこられなくなる。おそらくはモルゴンが...

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黒い獣・魔法の系譜・姿を変える者たちの変奏 - パトリシア・A・マキリップの小説から

先日読み終わった3部作「イルスの竪琴 (The Riddle-Master...

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喫茶店「珈琲 琵琶湖」梅の屋敷から広大な湖面を想像する11時|東京都・大田区

滋賀から遠く離れた東京都にも「琵琶湖」があるらしい。それは喫茶店の姿をしていて、建物のように装っていながら、あの静かで広大な湖面に宿る心を内に秘めている。扉を開ければいつでも、あの場所の空気に包まれる……かもしれない。また近江八幡に行きたくなってきた。大田区、蒲田。

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手に入れた瞬間、もうそれに意味はなくなる - ハガード王への哀歌|ピーター・S・ビーグル《最後のユニコーン》そして《旅立ちのスーズ》より

ハガード王が治める街ハグスゲイトの住民たちも、彼と同じく「何物も永遠には続かぬ」を理由として何にも愛着を持てずにいる。魔女が城にかけた呪いの予言によって、いかなる事物もどうせ未来に失われることが分かってしまっているから、幸福な状態になることができないのだ。手に入れた喜びが、いつか確実に消えてしまう、と判明している状態で、どうしてそれに心を傾けることができるだろう?...

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茉莉花茶とアイスクリーム

私は熱いものを食べたり飲んだりするのが非常に苦手なのだけれど、思えば、いつもそのことを半分くらい忘れている。ぐらぐら煮立ったお湯から抽出したばかりのお茶を前にしている時であっても。今の季節のように室温が低いとなおさら油断が生じるのかもしれない。さっきも少し勢いよく液体を吸い込んでしまって、口内の上顎の方が腫れた。夜のあいだ何かを読むための用意として、でも一般的には眠る前に推奨されるようなノンカフェイ...

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切り分けた心を奪われる(または巧妙に、自分から差し出すように仕向けられる)ような

もっとも厄介なのは、相手から要求されることではない。そう思う。厄介で恐ろしいのは、自発的に、心の一部ならすすんで差し出してもいいと思わされてしまうこと。加えて、そう思わされる状況に置かれることの方。だから、広義の恋は劇物なのだ。毒どころの話ではなく、文字通りに劇的に甚だしく、生物の息の根を止めてしまう。

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黄金色をしたワームスプアーの模造品:P・A・マキリップ《ホアズブレスの龍追い人》

先日クラフトコーラの原液を買ってきて、炭酸水で割ったら、きれいな金色になった。少しもアルコールの含まれていない、炭酸と各種香辛料だけがぱちぱちと刺激的な甘い飲み物だけれど、想像力を駆使して杯を傾ければちゃんとワームスプアーの模造品になる。精神を研ぎ澄まして、確かに黄金色のお酒なのだと念じて。勢いよく飲むとむせてしまうところなどは結構似ているのだから。100円ショップのグラスに、同じ100円ショップで...

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赤い服を着て白く長いひげを生やしたおじいさん

大きな窓の上に穴を開け、そこに紐が通されたような商品を1つ買った。紐は赤、白、交互にねじられて、ステッキ型のキャンディを彷彿とさせる趣。口に入れたら甘いかも。深緑の針葉樹が茂る区域に設けられた柵の内側では、たっぷりとした赤い布の服をまとうおじいさんが大きな布袋(革袋、かもしれない)を両手で逆さにし、明かりが漏れる建物の中へと大量の小箱を注いでいる。翼を持つふたりの天使たちがその傍らで果物を抱え、もう...

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純喫茶 バウハウス - 窓と草木の隙間から零れる明かり|神奈川県・横浜市

扉を開けて外に出た瞬間、よかった、やっぱり来てよかった、といつも思える喫茶店。今年の晩春に訪れていたJR中山駅前の喫茶店、バウハウス。ふたたび足を運んだら、前はあったあれが無いな、と思っていた緑のカーテンが復活していて喜んだ。何とも言えない薄く軽やかな素材のカーテン。ワッフルのような格子状の網目によって生み出される奥行きと、深みのある色合い。

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P・A・マキリップ《茨文字の魔法》時間にも世界にも隔てられず蔓延る、その棘の蔓は……

ページを開いて眼で文字をひとつひとつ飲みこみ、噛み砕き、頭の中である一幅の画を織り上げているあいだ……実際の身体の周囲にある音も、色も、暑さも寒さすらも消え失せる瞬間が確かに訪れる。それを称して「本には魔力が宿る」と比喩されるのだが、図書館のそばで拾われた孤児で、今は書記として働くネペンテスが捕らえられた魔力というのは、実は単なる例えとは種類を異にする、ある特定の魔法らしかった。茨のような形をした、...

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海をグラスに1杯 - 金沢八景の喫茶店オリビエ|神奈川県・横浜市

でんわ☎でんわ...

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何度でもまた、どこかへ

昨年の中盤……特に夏の終わり頃から少しばかり調子を崩していて、生きるのが苦しく、心身の余力を温存するためにできるだけ引きこもり気味に過ごしていた。そうしたら、かなり快適だったはずなのにとても寂しくなってしまった。自分でもびっくりした。何にも邪魔されない場所で静かに過ごしていたいのに、それにもしばらくしたら飽きてやめたくなるなんて、贅沢だ。それでもこれが己の性格なのだからどうしようもなく、考えた末に他...

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平成橋を渡ったら「アンティック喫茶 ともしび」がある|高知県・高知市

// JR高知駅に着いて、事前にメモしてあった店名のひとつを目指した。そこまでだいたい徒歩10分程度の距離らしい。 いわゆる純喫茶はこの駅の南側だと、はりまや橋停留所やその東西に多く集まっているようで、あまり足を動かしたくない人の場合はとさでんの路面電車を利用するのが便利なようだった。 私はとりあえず歩いてみる。南東の方に進むと江ノ口川が走り、平成橋を渡り切ったら右手の方角に「アンティック喫茶...

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ヘッセの『デミアン』が本棚にあるはずだと思ってしばらく探し、見つけられず、そんなはずはないと念のためkindleを確認したら電子版で持っていた。実際に紙で所持している同著者の作品は『車輪の下』と『シッダールタ』で、それらと混同していたらしい。卵に関して言及された部分を引用したかったのは、外で実際に卵を見つけたから。さほど大きくはない鳥の卵。巣の中に、ふたつ。場所は外出先のビルの一角であった。

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2024年上半期のお茶紀行① 産地&茶園別に巡る紅茶

2024年6月までのおおよそ半年間で触れる機会があった紅茶の記録。各種フレーバードやブレンドを除く、単一農園(シングルオリジン)の感想を格納します。当時から各種SNSに残しておいた写真をこちらにも。振り返ってみると意外にもブレンド系を多く飲んでいたようで、本当に単一茶園の葉のみで構成されているものは少なめ。今後も引き続き、また徐々に手を伸ばしていければ、と思います。

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2024年上半期のお茶紀行② ブレンド&フレーバー毎に巡る紅茶

①に引き続き、こちらは第2弾。各種フレーバードティーや、色々な販売元が取り扱っているブレンド系の紅茶の感想を格納します。緑茶ベースのものは含まれませんので次回記事の更新をお待ちください……。当時から各種SNSに残しておいた写真をこちらにも掲載。

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2024年上半期のお茶紀行③ 緑茶・青茶・黒茶・ハーブティー編

2024年6月までのおおよそ半年間で触れる機会があった青茶や緑茶など、中国および台湾で産出されるお茶や、緑茶をベースに香りが付けられたフレーバードティーおよびハーブティーの記録。当時から各種SNSに残しておいた写真をこちらにも。紅茶以上に初心者の分野なので、手探りしながら道を進みつつ、またこれから新しいお茶に出会うのが楽しみ。

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// 前回「卵」の続き 風邪をひき始めた予感がする。普通の症状とは異なる頭痛がしていて、けれど発熱はない。 寝入りばなに私は特定の夢のことを思い出す。ビルの隅に産みつけられていた鳩の卵を見て思い出した、夢。それは、自分がかなり胴の太い大きな大きな蛇になって、ゆっくり鳥の卵を飲みこむというものだった。...

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マキリップ《アトリックス・ウルフの呪文書》土地を愛した老魔法使い、森の女王の娘、魔法を学ぶ王弟の歩む道はいかにして交わるのか

カルデスとペルシールの間に戦が起こった。放っておけば、美しき山々と魔法学院を擁する土地ショームナルド……山羊飼いやさすらい人たちの憩いの地も、間違いなく巻き込まれる戦だった。それを止めるため、通常であれば力のバランスを保つため人界にはかかわらない魔法使いの長老、アトリックス・ウルフはカルデスの陣地に赴いた。自ら王を説得するために。しかし彼の訴えはカルデス公から退けられる。ただ何かを得るための争いを正...

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フランシス・ハーディングの小説に引き込まれている - 世界から弾かれた者たちの紡ぐ物語

ハーディング作品で最初に手に取ったのは『カッコーの歌』だった。英国幻想文学大賞受賞、そしてカーネギー賞の最終候補作。あらすじに惹かれたのか、表紙が印象に残ったのか……もう覚えていないけれど、とにかく仕事帰りに書店で購入していて、しばらく本棚で寝かせていた。そうしたらBlueskyのフォロワーさんが感想を呟いており、内容に心を掴まれたのですぐ読み始めることにしたのだった。結果、本当に好きな物語であった...

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ティーセット・お人形・ティーカップ

しばらく前からこちらの方と一緒に暮らしています。関節部分が球体で、透き通るような美しい瞳は着脱可能な頭部のつくり。黒いドレスとヘッドドレスを本体とは別途で購入しました。合わせようと思ってもあまり目が合わないところが最大の魅力で、まさしく「ここ」ではなく、より洗練された世界の方をいつも眺めているのだろうと感じさせる表情には畏敬の念を抱くしかありません。

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明治35年創業「元湯玉川館」の食事と建物 - 七沢温泉は小林多喜二が一時期隠棲した土地|神奈川県・厚木市

今回、食事と入浴を合わせた3時間滞在のプランで利用したのは、明治35(1902)年創業の元湯玉川館。現代ではドラマ『相棒』の撮影で使われたり、過去には漫画『のらくろ』の著者である田河水泡や童謡『夕焼小焼』の作詞を行った中村雨紅が逗留していたりと、時代を超えて多くの人々に親しまれている旅館のよう。

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スリランカ一人旅(1) 宝石のごとき「紅茶」のきらめきに魅了され - スリランカ航空を利用して光り輝く島へ

何の変哲もない飛行機内の紅茶から、すでに旅への期待が高まっていく。いわゆるコロナ禍の影響をずっと受けていたため、国外へ足を運ぶのすら数年ぶり、という驚きがある。それでもだんだん思い出してきた。こうした旅は、たとえ頻繁でなくても、確かに自分の日常と人生の一部であったことを。願わくは、今後もそのようにあれますよう。

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